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2024.08.11
家族会議で何を話し合う?遺言・財産・実家の土地、子世代からは声かけしにくいよね。
相続の家族会議では何を話し合えばいいのか?
この質問を士業の先生に相談すると即答してくれます。
①最初にお父様の相続財産を調べてください
②基礎控除額を超えると相続税がかかります。
③相続税がどれくらいかかるのかを試算します。
④法定相続通りに分けると、お母様が2分の1、あなたを含むご兄弟全員で2分の1になります。
⑤節税対策のご提案を差し上げます。
⑥その提案内容をみなさんで話し合ってください。
明瞭簡潔で分かりやすいですね。
でもちょっと待ってくださいよ。
お父様が、仮に70才で元気な時に家族会議をしたとします。
平均余命を参考にすると死亡推定年齢は85才です。
(勝手に死亡時期を決めてごめんなさい。)
年金と預貯金で生活されていれば、15年の間に金融資産は大きく目減りします。
自宅不動産の評価額は、年数が経過しても大きく変わることは少ないかもしれませんが(もちろん例外はあります)、金融資産は、今亡くなった場合と15年後に亡くなった場合では数千万円の開きが出ることもあります。
そもそも何の相談に行かれたんですか?
節税対策の相談ですか?
父の相続において家族会議で何を相談すればいいのかを尋ねに行かれたのではないのですか?
士業の先生の専門分野に引き込まれちゃダメです。
大体お金の話しって(特に相続においては)最初に出してはいけません。
節税対策が気になるのは、相続財産をもらうあなただけであって、親はあなたほど気にかけていないこともあります。
だってそうでしょう。節税対策をしたからって、お父さんの財産が増えるわけではありません。
忘れがちなのが、相続財産にはお金の側面ともう一つ、感情の側面があります。
ここをおろそかにして話をすすめると、家族関係にヒビが入ってしまうことがあります。
相続財産の感情って何でしょうか?
・その相続財産の持ち主である親の感情。
・親が亡くなった後に、その財産を受け取るあなたの感情。
・相続財産に群がる関係者たちの感情(相続人以外の近しい家族や親戚、銀行、保険屋など)
そのそれぞれに立場と想いが異なります。
あなたの親はどのように考えられるでしょうか?
「そもそも私の財産、私の好きなように分けたい。」
「子どもたちへの愛情に差はないので、平等に分けたい。」
「長男は私に口答えばかりして、社会人になった後は一人暮らしをしていて1年に1回も実家に戻ってこない。あいつには財産を渡したくない。」
「長男は一人前になって家族も家も購入したところだ。でも長女には障害があり嫁にも行けそうにないから、長女にできるだけ多く残してあげたい。」
「私が死んだ後に、妻の老後の面倒を長男にみてほしいから、財産は長男に全て任せよう。昔の家督制度ではそうだったんだから。」
「法律通りの分け方だと、妻が2分の1で残りを子どもたちで平等に分けるらしい。でも貯金の800万円くらいは妻の老後に残したいし、この住んでいる家を売るわけにもいかないし、よう分からん。」
ご主人が仮に金融機関へ相談に行かれたとしたら、次のように勧められます。
『遺言信託を用意されることをお勧めします。あなたの財産ですからお子様たちに相談される必要はありません。相続税ができるだけ少なくなるように、誰からも不満が出にくいように、あなたのお考えを尊重して、このように分割されたらいかがですか?』
と言われその気になって、遺言信託の契約書にサインをされるかもしれません。
費用は財産総額によっても変わりますが、ざっくり最低200~300万。
亡くなれば親名義の通帳から、勝手に数100万円が引き出されるので、残されたご家族も財産を減らされたという感覚が少ないんですね。
よく出来た仕組みです。
でも、親本人の考えだけではなく、あなたを含めた他の家族の感情も大切にするのが財産を残す人の責任でもあると思います。
家族会議の進め方は、100家族あれば100通りです。
何が言いたいかというと、決まった進め方はないということですね。
この記事を書いた人
たつみ相続相談の専門家
辰巳博